この記事を読むことで、以下のような物欲をコントロールすることができます。
ランニングを続けていると、時には故障(ケガ)をしてしまうこともあるかもしれません。
記録を目指して真剣に走りこんでいる時ほど、何とかして練習を継続したい、という心境になりますよね。
今日、様々なメーカーから、脚の保護や故障予防をアピールポイントにしているシューズが多数発売されています。
それらを使えば……新しくシューズを買えば!今の痛みが嘘のように感じなくなり、練習を継続できるのではないか、と期待してしまうのではないでしょうか。
実際、僕も足が痛くて走れない時、新しくシューズを買いたい欲求に駆られることが何度もありました。
この記事では、そのような経験(実際に衝動買いしてしまった経験談も含む)をふまえて、シューズの新調がケガの痛み緩和に効果があるのか、考えていきます。
結論:おすすめしません
ランナーである以上、どれだけ気を配っていても、時には故障をしてしまいます。
真剣に走りこんでいるとき、また大会に向けて調子が上がってきている時ほど、トレーニングを休みたくないと思ってしまうものですよね。
今日、各メーカーより様々なシューズが発売されており、脚の保護機能、故障予防をアピールポイントにしているシューズも多数あります。
これらを買えば、今の痛みが嘘のように感じなくなって、トレーニングを再開できるのではないか……!?と夢見てしまう方も多いのではないでしょうか?
僕もその一人なので、気持ちは痛いほどにわかります。
実際に藁をもすがる思いで、新しいシューズを衝動買いしてしまった経験が何度もあります。
しかし……
単刀直入に言って、怪我の治癒を期待して新しいランニングシューズを購入しても、全く効果はありません。
シューズを変えても、”今ある”痛みは無くならない。
その痛みはシューズが原因ではない
なぜなら、たいていの場合、故障の要因はシューズそのものではないから。
一般的に、ランナーの故障の原因として多い項目を、以下に挙げてみました。
どれも、ランニングシューズの性能とはあまり関係ない要素ですよね。よって、ランナーが今抱えている痛みの原因は、ほとんどの場合、ランニングシューズとは無関係だと考えられるのです。
原因①:ランニングフォーム
ランニングフォームが崩れていると、故障に直結します。
理想的なランニングフォームは、各選手の体型や骨格、柔軟性などにより様々なのですが、おおよその指標はあります。
- 体の上下動が小さい
- 重心バランスが左右均等である
- 接地~蹴り出しまでの一連の動作に無駄な力みがなく、滑らか
テレビでマラソンや駅伝の中継を観ると、トップ選手の走り方は個人差あれどおおよそ上記に当てはまっています。
何より、観ていて美しい走り方ですよね。

対して、自分のランニングフォームをスマホ等で録画してみると、目を覆いたくなる。。。なんてことも。
そう感じるということは、フォームに改善の余地あり、このままでは故障に繋がってしまうかもしれない、ということかもしれません。
原因②:オーバーワーク
個人的に、市民ランナーの故障の要因として最も多いのはオーバーワーク、つまり走りすぎだと感じています。
運動生理学やトレーニング論に精通したコーチが練習をコントロールしてくれるプロのアスリートとは異なり、僕たち市民ランナーは、レースの目標からそれに向けた日々のトレーニング内容まで、自分で組み立てていかなければなりません。
レースの予定が決まったり、目標を宣言して気持ちが入った時など、ついつい『気合を入れて練習量を増やそう!』という思想になるのではないでしょうか。
僕自身は恥ずかしながら、こういうタイミングの数日後に、足に違和感を覚えるものの気持ちが高まっているため休む決断ができず、だましだまし走って故障に泣かされるパターンが多いです。。。
原因③:柔軟性が低い
体の柔軟性と故障の発生については、一見関係性が無いように思われるかもしれません。しかし、体の柔軟性が高いほど、衝撃吸収性が上がります。
ランニングは単純動作を長時間繰り返すスポーツなので、体のタフさも故障予防の重要な要素です。
地面からの着地衝撃を受け流せるよう、体の柔軟性は可能な限り高めておいたほうが良いです。

物欲に負けた僕の失敗談
僕はこれまでの10年以上の競技生活の中で、何度も故障を経験してきました。
そのたびに、クッション性のより高いシューズを新調すれば、この痛みが嘘のように消えて、練習を続けられるのでは!?と夢を見ていました。
走れるようになるための投資だ!と思い込んで、高額なシューズを衝動買いした経験も何度もあります。。。
しかし、前述の通り、シューズを変えたところで、その当時抱えていた痛みが解決したことは一度もありません。
参考までに、これまでの経験の一部を紹介します。
足底筋膜炎→NIKE ズームフライ3→痛み引かず
フルマラソン2時間50分切りを目標に、日々走り込みを行っていた2019年の夏。
月間500kmを目標に走り込んでいましたが、走行距離を伸ばしたことで、8月上旬に足底筋膜炎を発症してしましました。
足底筋膜炎とは、オーバーワークにより足裏に過剰な負荷がかかり、炎症が起こることで痛みを感じる故障です。
足底筋膜炎の予防には、ロッカー構造(靴底が弓状のカーブになっている構造)のシューズが効果的。体重移動をサポートしてくれるため、足裏の負荷が軽減する、という情報を目にしたことで、当時の最新モデルであったNIKE ズームフライ3を衝動買い。

しかし、このシューズを用いたところで、既に発症している足底筋膜炎の症状は改善しませんでした。
余談ですが、この直後にセルフケア&補強トレーニングを徹底し、月間500km走破 & シーズン中にフルマラソン2時間50分切りは無事達成できました。
足首の痛み→asics ゲルカヤノ27→痛み引かず
厚底シューズが主流となり、各社よりトップレーシングモデルの発売が相次いだ2020年。
秋に、NIKEのアルファフライ NEXT%を用いて、42.2kmの非公認フルマラソンチャレンジを行いました。
サブスリーで完走することはできたものの、走っている終盤から足首に鋭い痛みを感じるようになっていました。
厚底シューズは足首周りが不安定になりがちで、さらにその時は直角カーブの多い周回コースを走っていたので、足首が負荷に耐えられなかったのだと思います。
その後一週間はあまりの痛みで全く走れないような状態になり、整形外科を受診したところ、疲労骨折等ではなく、足首周りの筋肉の炎症との診断でした。
安定性の低いシューズで長距離を走ったことが原因のため、反対にサポート性に優れたシューズであれば痛みを感じないのでは!?という期待から、asicsのゲルカヤノ27を購入。

しかし、このシューズに足を入れたからと言って突然走れるようになる、などということは無く、回復にはしばらくランオフにして安静にするしかありませんでした。
投資すべきおすすめグッズ
何らかの故障、痛みが生じている状態であれば、ランニングを継続できるようになるための唯一の方法は、故障を治し、不安なく走れる状態に戻すこと、です。
真剣に記録を求めているランナーにとって、練習を休むというのは辛いことです。でも、『休養期間の間にセルフケアを徹底し、一日でも早く復帰する』という意識で前向きに取り組んだ方が、騙しだまし練習を続けて故障を悪化・長引かせるよりも建設的だと思います。
前述の通り、ランニングシューズをはじめ、何かを導入するだけで、魔法のように痛みが消えて走れるようになる、などということはあり得ません。
ただ、マッサージやストレッチ等のセルフケアで役立つグッズであれば、導入してケアに取り組むことで、より短い期間で故障から復帰できることに繋がるはずです。
僕がこれまで試してきた故障予防・セルフケアグッズのうち、買ってよかった、効果があったと感じているものを紹介します。
電気治療器
患部にパッドを貼って、電気を流すことでマッサージ効果を得ることができる機器です。
僕は2019年から、OMRONの『HV-F5000』というモデルを愛用しています。

故障中はもちろん、日々のランニング後の疲労抜きにも使えるので、個人的に買って大満足、快適さに感動したケアグッズです。
ランニング後や就寝前、寝転がってスマホやテレビを見ながらケアができるので、メリットしかありませんね!
足裏マッサージボール
足裏に疲労感があったり、足底筋膜炎の予防および治療に効果的なグッズ。

足裏の故障は、土踏まずのアーチの崩れが原因で生じることがほとんどです。
ランニング後はどうしてもアーチ高さが低下するので、これを軽く踏んで足裏をコロコロと転がすと、適度な刺激でアーチが揉みほぐされる感覚があり、とても気持ちよいです。
僕のおすすめは、トリガーポイントの『モビポイント マッサージボール 直径5cm』です。
M.Lab リアーチ
最後は、竹輪踏みの要領で上に立つことで、足裏の形状を整えてくれるアイテム。

3000人以上の足裏形状データから作成した、正しいアーチ形状を促す起伏がつけられています。上に立って軽く足踏みすることで、ランニング時の負荷により疲労した足裏に刺激を与え、アーチ高さを復元してくれます。
足底筋膜炎を発症した経験のある方、偏平足気味の方には特におすすめできるケアグッズです。
まとめ
故障をしてしまうと、走りたい気持ちと焦りから、藁をもすがる思いでついつい高性能の新しいランニングシューズが欲しくなってしまうものです。
しかし、怪我の治癒を期待して新しいランニングシューズを購入しても、全く効果はありません。
ランニングを再び楽しめるようになるための唯一の方法は、故障を完治させ、不安なく走れる状態に戻すこと、です。
本質を見失うことなく、故障回復に向けて日々のケアや補強トレーニングを徹底していくことが、精神衛生上も良いし、ランニング再開への近道だと思います。